肩甲上神経障害

肩甲骨周辺から肩関節に及ぶ深部の鈍痛が主訴となります。
 
野球やバレーボールをやっている方に発症しやすく、肩関節の外転・外旋または内転動作を繰り返すことにより、肩甲上神経が障害されます。
 
バレーボール選手では、棘下筋の萎縮が顕著になっていることがあります。
肩甲上神経の障害や圧迫はよくある症状ではありませんが、棘上筋と棘下筋の萎縮を引き起こし、上腕を外転する力や外旋する力が弱くなります。
 
肩甲上神経は、成人の場合15㎝ほどの短い神経です。
 
神経がどのように走行しているかというと、第5、6頸神経前枝より起こり、腕神経叢の上神経幹に達し、ここから形成される肩甲舌骨筋の起始に沿って走り、肩甲骨の肩甲切痕とその上方に張った肩甲横靱帯の間のトンネルを通過し棘上かに至ります。
 
その後外側に走行しながら棘上筋枝、肩鎖関節包枝、肩関節包枝を分枝し、棘か切痕を肩甲棘基部外側縁と密着しながら、下肩甲横靱帯の下部を急激に内側方向に変化させ、棘下かに至り、棘下筋枝を分岐します。
 
要するに、肩甲上神経は棘下筋に枝を出すまで、肩甲切痕と棘か切痕の2か所で急カーブを経なければならず、この2か所が肩甲上神経の絞扼部位となることが多いです。
 
鍼治療は、棘上筋、棘下筋を中心に刺鍼し、肩甲上神経の疼痛閾値の上昇、神経血流の改善、周囲筋群の過緊張の緩解を目的に行います。